「産学連携」って、日本ではなぜ難しい?①
日本の“産学連携”って、すごく良さそうに聞こえますよね。でも、実は、うまくいっていません。なぜか?その経緯や全体像をお話します。
1. 産学連携って何?
産学連携とは、大学と企業が、それぞれの長所を出し合って共同研究する取り組み。
大学は、基礎研究が得意。企業はニーズ把握と事業化が得意なんです。
基礎研究とは、実用目的ではなく、自然の仕組みを解明する研究。
合理的で、良いことしかないように聞こえます。
でも、日本ではなかなかうまくいっていません。
2. バブル崩壊後、企業が基礎研究を止めた理由
かつては企業内で基礎研究していたけど、バブル崩壊後はコスト削減へ向かいます。「作れば売れる」が崩れ、基礎研究は非効率だとみなされがちになりました。
その結果、山中教授のiPS細胞や、本庶教授のオプジーボのような、未来の産業を支える研究は、大学頼みになりました。
日本の将来の産業を支える研究を、企業は行わないようになってしまったのです。
3. 2004年、大学法人化と「稼げ」と言われた大学の混乱
国立大学はそれまで国に支えられていたけど、2004年に「自分の足で稼ぎなさい」と、切り離されました。その時から、国立大学は国の機関ではなく「法人」になったのです。大学は、研究の成果を使って一生懸命マネタイズを試みるように変化しました。
だけど、商売経験ゼロの大学。マネタイズを求めるのは…それは酷な話です。
そこで国は、大学が“稼ぎやすいように”制度を整えました。
ただそれが、企業から見ると“ジャイアン契約”だったんです。
4. ジャイアン契約、ざっくり紹介(なぜ企業が離れたか)
代表的なポイントは:
・大学が「自分は発明に貢献した」と主張すれば、企業はそれを覆せない(ジャイアンっぽいでしょ?)
・企業が発明を使うには、大学が納得する対価を払う必要(大学は言い値を提案できる)
・一緒に研究した企業の競合他社に、大学は技術を提供することも可能。(上司から、ぜったい「なんでやねん」って怒られます。)
→結果、企業は本音で連携せず、“当たり障りなくお付き合い”するだけに。
5. 制度を見直さなければ、日本は追いつけない
数字を見ると日本の産学連携も、年率7〜8%で「伸びて」います。
順調に見えますが、米国や中国と比べたら、圧倒的に小規模で遅いのです。
他国では、半導体や宇宙などの国家的テーマを大学と一緒に動かしています。
日本では、「いい発明」もなかなか製品に結びつきません。制度もスピードも足りていません。
誰も悪くないのに、結果として誰も得していない。このままじゃ、本当に日本が置いてけぼりになるかもしれません。
6. 日本だって、すごい例もある。
実は、日本だってすごい事例があるんです。きっと皆さん、名前を聞いたことあるのでは?
・iPS細胞
→京都大学山中伸弥授(ノーベル賞受賞者)が見付けた、心臓や網膜などに変化できる「万能細胞」
今は、タケダ、第一三共などが実用化を進めています。
・オプジーボ
→免疫療法による、ガンの治療薬。京都大学本庶佑先生(ノーベル賞受賞者)と小野薬品の共同研究の成果
・コンピュータの富岳
→大学じゃないけど日本の産総研と富士通が、世界一のスーパーコンピュータ富岳を生み出した。
7. この他にも、決して有名なものや大規模でないものなど無数の成功例があります。
もちろん、アメリカや中国と比べると、日本の規模やスピードには、正直、まだ差があります。ただ、こういう素晴らしい技術のポテンシャルがあるのが日本です。「産学連携って日本では上手く行っていない」で止まっていては、いけないのです。
8. 解決策は、単に、大学と企業が仲良くすれば良いだけ。それができれば、日本がもっと活躍できるはずと思っています。
日本が小さな国にならないようにするため、橋渡しに協力できたら、嬉しく思います。
声でも話していますので、良かったらStand FMも聴いてみて下さい。
【放送リスト | stand.fm】
「「産学連携」って、日本ではなぜ難しい?」の続編も、計画しています。